「FINE DAYS」 | 月灯りの舞

月灯りの舞

自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

「FINE DAYS」
  本多 孝好:著
祥伝社文庫/2006.7.30/600円



_FINE DAYS


読んだことのない作家さんだったけど、
けっこう好みの作品だった。


四編の短編なんだけど、どれも恋愛もの。
だけど、フツーの恋愛ではなく、ちよっと
不思議な話だったり、ミステリー要素が
からめてあったりして、おもしろい。


表題の「FINE DAYS」は、せつない。
高校生たちの話なんだけど、教師と高校生の恋愛も
からまれている。


抱かれることでしか自分の存在を確認できない
女の子の話ってけっこうあるのだけど、
これは、ちよっとミステリー仕立てにしてあって、
ユーモアもちりばめられていて、最後に
ズンと来た。


高校の校舎の屋上から転落した男は
膝までズボンをずりおろしたままで死んでた。
セックスしようとしたところか、
フェラさせてたところか……。
自殺なのか他殺なのか……。
という話。
いろいろ考えさせられる。



ちょっと前に読んだ漫画「怪談と踊ろう」
高校で転落する話だったが、“転落”
というのは、
「自殺にみせかけて他殺」のもあるが
「他殺にみせかけて自殺」というのもある。
後者は、もちろん誰かを犯人に仕立て上げるため。



二話目の「イエスタデイズ」という話も
せつなかった。

死の床にある父親が、35年前に別れた元恋人を
捜して欲しいと息子に頼む。


そして、息子は、父親のスケッチブックに残された
彼女の画をたよりに彼女を捜すお話。


これは、タイムスリップもの。
息子が、訪ねたアパートには、若かりし頃の父の元恋人と
若き日の父がいた。

愛し合っていたのに別れなければならなかった二人を
なんとか添い遂げさせようとする“息子”だったが、
運命は変えられない……。


死の間際に昔の恋人とかに逢いたがる話って
けっこうあるけど、大抵、男のような気がする。
男ってどうして昔の恋人に逢いたがるのだろうなあ。
きれいな思い出のままにしておけばいいのにね。




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