「流行り歌に隠されたタブー事件史」 | 月灯りの舞

月灯りの舞

自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

別冊宝島シリーズの新刊。
流行り歌もの、封印歌謡ものとくれば
読まずにいられない。


 「流行り歌に隠されたタブー事件史
-人・世間・時代に翻弄された」

昭和歌謡&Jポップの名曲・名作」 (別冊宝島 1499)

 宝島社/2008.2.19/980円

流行歌タブー

差別&猥褻表現ゆえの封印唄から、ゴシップ&スキャンダル、
果ては騒動&事件化したヒット曲まで……。
業深き問題作・話題作をテキストにひもとく、
昭和歌謡、Jポップの暗黒史。
             <表紙より>



前書きで、流行り歌を「月」に例えている。
我々は満月をめでるが、太陽の光があたる
部分は半分でしかない。


多くの大衆に支持され愛された歌も
スポットライトを浴び煌々と光る満月のようだが、

月同様に満ち欠けがあり
“陰があってこその輝き”だと。
そして本書では、そのの部分にこだわっている。



まずは放送禁止歌。

21世紀に見事に復活した「ヨイトマケの唄」が登場。

フォークでは社会派もの、差別もの、歌謡曲ではお色気もの、
ヒットしたのに紅白に出られなかった歌の秘密、
ロックでは過激パフォーマンスものなどなど
超有名な封印ものから、知られざる封印ものなどが
盛りだくさん。



懐かしさを感じるが、当時の「陰」を知ることで
よりその歌がいとおしくなったり、
その歌手の想いを想像してしまう。


封印には「歌詞」のほかにも「アクション」が封印
されたこともあったのだ。
西城秀樹の「ブーツを脱いで朝食を」の場合は
ライターに火をつけかざして歌うというアクションが
封印。
コレを子どもが真似て火災が発生したからとか。
でも、ヒデキはそれだけでなく、「あなたと愛のために」
の歌で「手鏡」を使うミラーアクションを試みたがこれも封印。


ジュリーの「サムライ」は衣装が「ナチス親衛隊」を
思わせるからと苦情が殺到と、小道具のナイフも封印。

この時代は歌謡曲のアクションや振り付け全盛の頃で
より派手に、より個性的になっていた時代で
インパクト重視だったのかも。



井上陽水の大麻逮捕の知られざる因縁話や
タモリの伝説の封印アルバムなど
大物の封印もの話もたくさんある。

アイドルものでは「少女隊」の軌跡や
氷室京介の封印ものなども興味深い。



「ドロボー歌謡曲」という本がプレミア本となっているほど
パクリものについても列記されている。


繊細すぎて自殺、自傷などガラスのアイドルたちの
名曲も胸がしめつけられる。



最後の方に「女の歌が男にしか書けない理由」
「歌謡曲に潜む“悪意”について」を阿久悠の歌を
あげながら、歌謡曲は「どんな女を描いてきたか」を
解説しているのが興味深かった。


執筆陣に「どうにもとまらない歌謡曲」の著者
舌津智之氏の名前があった。
ブログでこの本を取り上げたとき、著者ご本人
さんから、コメントをいただいたのだ。



★「どうにもとまらない歌謡曲―七〇年代のジェンダー」
  (舌津 智之:著)
http://tsukiakarinomai.ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10049911205.html


★「歌謡曲の時代」(阿久 悠:著)
http://tsukiakarinomai.ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10047585397.html


★「封印歌謡大全」
http://tsukiakarinomai.ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10047682191.html



★「放送禁止映像大全」「封印作品の謎」
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10004797170.html