「知識無用の芸術鑑賞」 | 月灯りの舞

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自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

「知識無用の芸術鑑賞」
  川崎 昌平:著

幻冬舎新書/2007.7.30/720円


知識無用の芸術鑑賞
「芸術がわからない」というのは大きな間違いです。
芸術の見方に正解はありません。
ピカソのゲルニカからデュシャンの泉まで、
仏像から彫刻まで、狩野派の襖絵から街中のオブジェまで、
古今東西58作品58通りの芸術鑑賞の方法を提示します。
教科書が教えてくれない「アート」入門書。
             <裏表紙より>



さまざまな芸術作品に対して、やさしい言葉で
語っていく。


知識無用というよりは、著者に芸術的知識が
あるからこそ、専門用語をあえて「やさしい言葉」にして
説明できるのだろうなと思う。


でも、芸術本なのに芸術作品の写真が一枚もない……。
有名な作品だと、すぐ思い浮かぶけど、
知らない作品だとイメージだけしか浮かばないのが残念。



高村光太郎の「兎」という木彫り彫刻についての解説の
ところで「失われた空間、それが彫刻です」とある。


石のお地蔵さんは「石でできている」のではなく
「石を消失させること」で誕生するという見方。


ちよっと屁理屈っぽいけど、「残った部分」に
ばかり目がいくけど、「消え去った部分」の意志が
強く空間を支配しているという観点も納得。


また、何もない空間に絵の具を重ねる「絵画的思考」と
逆に、有に無を投射する作業が「彫刻的思考」。

これは白紙の原稿用紙に向かうのが絵画的思考で
書き終わった原稿を添削するのが彫刻的思想になるとも。


タワーだったり、ネオンサインだったり、
著者はいろんな所に「芸術」を 見つけて
自由な発想で見つめ、自分なりの言葉で語る。


柔軟な発想力がやっぱりアーティストなんだなあー。

一つの方向からしか見られない頭ガチガチの人は
こういうの読んで 頭をほぐそう。
イマジネーションは無限だって思えてくる。