「官能小説の奥義」 | 月灯りの舞

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自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

「官能小説の奥義」

永田 守弘:著
集英社新書/2007.9.19/686円

官能小説の奥義

官能小説とは、読者の淫心をひたすら刺激するために、
官能小説家たちが独自の官能表現を磨き、
競い合ってきたものである。
その精魂傾けた足跡をたどり、
日本語の豊饒の世界を堪能する。
          <表紙 折り返しより>


官能小説の文体の歴史から、

「性器描写の工夫」
「性交描写の方法」

「フェティシズムの分類」
「ストーリー展開の技術」

「官能小説の書き方十か条」
まで。


官能小説ダイジェスト本でもあり、初心者向け
官能小説を書くための手引書でもあり、
いろんな意味で実用的な本。


著者は雑誌「ダ・カーポ」の創刊以来の名物コラム
「くらいまっくす」を担当。
このコーナーで一回につき平均2~3冊紹介してきた
著者はここだけで1200冊の官能小説を取り上げたという。


「ダ・カーポ」12月で廃刊になるみたい。
創刊から読んでいただけに寂しいけど、
これも時代の流れなんだなー。


官能小説家は日本では100人もいるらしい。
ちなみにSM御三家(団鬼六・千草忠夫・蘭光生)
ポルノ御三家(川上宗薫,宇能鴻一郎,富島健夫)
美人ポルノ作家御三家(丸茂ジュン,岡江多紀,中村嘉子)。



官能小説は名作もあるけど、駄作も多いのは
事実だと語る著者は、それを承知の上で
官能小説の分析と整理を試みるためにこの本を示した
という。


官能小説の書き方十か条」の章で、
書いている途中でオナニーするな”というのには笑った。


でも、プロの作家さんでも書いてる途中で勃起するけど
そこでしちゃうとパワーダウンして書けなくなるからだと。
女性の場合も自分が濡れるような作品を書かなければ
読者を満足させられないが、執筆中のオナニーは厳禁だそう。



“初心者は自慢話や自己満足になりがち”というのは
どの小説の分野でもありがちかも。



セックスを書くということは、基本的に男女の粘膜の
ふれあいを表現することではあるが、それを掘り下げて
いくと、性というものが持っている優しさ、哀しさ、切なさ
に突き当たるはずである……と。


しかし、男性器の表現は独特のものがあるねー。
隠微っていうより、笑ってしまうのだが……。


沙織の美麗なる秘唇には、ドス黒い淫棒が突き刺さっており、
 なんとも卑猥な肉汁をヌメヌメ光らせて出たり入ったり……
     「沙織二十八歳 悲しき奉仕奴隷生活」  (綺羅光)


フェラ表現も著者独自の表現がおもしろい。


● ゆかりはけんめいに舐めしゃぶる。
  唇を突きだし、唇で肉棒を軽く締めて、スロートする。
  にゅっ、にゅく、にゅっく……。
       「隣の若奥様と熟奥様」 (巽飛呂彦)


言葉で感じさせるのって難しいねー。




★同じ著者の「官能小説用語表現辞典」
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★「女流作家10人が教える あなたにも書ける官能小説」
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