「シネマの快楽に酔いしれて」
加納とも枝:著
清流出版/2004.4.9/1400円
新宿の伝説的なジャズ喫茶「スマイル」の名物ママ
加納とも枝さんが綴った映画への美しいオマージュの花束。
<帯より>
「話の特集」や「キネマ旬報」に書いた
映画エッセイなどの遺稿集。
「真に映画を愛し映画に愛された感受性豊な
“永遠のシネマ少女”」と言うコピーがぴったりのエッセイ。
どれほど映画が好きかが伝わってくるエピソードや
映画への熱い想いが綴られている。
古い洋画が多いのだけど、「映画エッセイ」だから、
気取った映画評じゃなく、
素直な感想とわかりやすい描写がいい。
その映画、観てみたいなあと思わせてくれる。
タイトルのつけ方も興味深い。
「映画の中の“年上の女”」のところでは、
“いい女のお手本となる映画”がいくつかあげられ、
「レズビアン映画あれこれ」では同性愛映画の紹介も
されている。
「愛の極みを描く『シェルタリング・スカイ』」の
ところでは、
“何のメッセージも残さない、手軽な映画
ばかり観ていると全然進歩のない人間になってしまいますよ”
と警告し、
物欲ではなく本物の愛を求めて生きていくことの
贅沢さを書いている。
著者ご自身も、夫を「運命の人」と言い、大切にしたい夫を
独りにしたくないからと、闘病をがんばったと
書かれている。
そして、著者は「日本の男って、ラブ・ストーリー観ないのに
人一倍女が好きなのよね。ラブ・ストーリーも観ないで自分の恋愛や
結婚がうまくいくはずないのよね。日本の映画は駄目よ。
みんなロリコンだから」と言う。
そういえば、そうかもねーと妙に納得。