「1ポンドの悲しみ」
石田 衣良:著
集英社/2007.5.25/\479
恋はときどき残酷で、だけどとても優しい。
10の想いのかたちを描いた、ショートストーリー集。
<帯より>
30代女性の恋模様を描いた、短編集。
表題作の「1ポンドの悲しみ」 から読んでみる。
遠距離恋愛の話。
「月に一度会うという遠恋もの」。
しかーし、
えっ ?! これ…… エ、エロイやん。
遠く離れて暮らす男と女は、中間地点のシティホテルで逢う。
女が先に部屋で待っていて、男がやっきて、
部屋に入った途端、もういきなり「シルクのスカーフ」で
女は男に目隠しをするのだ。
そして、女は男を弄ぶように、イロイロとしていく。
逢えない時は、「ひとりでした」だの、
「今までで一番いい」だの
女は大胆な言葉を吐きながら、男を感じさせていく。
まあ、確かに性描写も美しい言葉で飾られ、
比喩も巧いが、
ずっとエロシーン全開で、
最後に別れのシーンに飛ぶ。
「別れるたびに胸をえぐりとられるような感じ。
せつなくて、空っぽでたまらない」と言う
女の台詞があるが、
やるだけやって、じゃあ! みたいで、
せつなさが感じられないんだけどなあ……。
多分、私が奴隷型M女だから、女リードの性描写には
そそられないせいか。
(そういう問題じゃない……か)
そして、別れ際の新幹線のホームで
「この世界は僕たちの悲しみで動かしているんだ」とか、
「さよならをいうあいだも、自分の悲しみで列車が
止められないかを試していた」だのの言葉が並ぶ。
ど、どうなの、これ?
せ、せ、せつないのか……?
せ、せ、赤面しそうなんだけど……。
でも、こんなにエロかったのね、石田衣良!
目隠しプレイや露出プレイをしたい人にはおすすめ。
でも、エロかったのはこの一作だけで、
後の作品は、さわやかで、読後も清涼感漂うものばかりで
きゅんとくるね。
さすが、売れッ子、人気もの。
「ふたりの名前」という話、同棲カップルの話が、
仔猫をもらってくる話で、猫好きの人には、きゅんと
胸がいたくなるせつなく悲しい話。
でも、目隠しプレイは、感度が高まる
……らしいよ。