「ムーンライト・ラブコール」 | 月灯りの舞

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自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

読後がさわやかであったかくなれる
「黄泉がえり」の作者カジシンの短編集。


「ムーンライト・ラブコール」
   梶尾 真治:著
光文社/2007.4.12/552円


ムーンライトラブコール

幸せな気分になりたいなら、この本を開いて
ください。
ハートウォーミングな永遠の名作8編。
           <帯より> 



一話目の表題作で、すで甘いラブストーリーを
味わえ、ほのぼのとした気分になる。

月面基地勤務にった彼が、地球に住む友達以上恋人
未満の彼女に愛のメッセージを送るという話。
アイディア部分は、いいのだけど、ラブストーリー部分は
あまりにベタすぎて、ちよっと照れるなあ。
SFというか、ファンタジー。
 
クリスマスの夜の話「アニヴァーサリィ」も
とってもいい話。
心があったかくなって、歳を重ねても
こういう愛し方をされたら幸せだろうなと思う。


「一九六七空間」は、人生に疲れた中年男が、
若い頃に通っていた店に寄ったことから、
19歳だった時代に戻る。


中年の自分の人生が19歳の自分の「夢」
なのではないかと思ったりもするが、
もう一度人生をやり直すチャンスだと、決意する。
気まづい夫婦になってしまった妻と
出会わないようにするが、
結局また出逢ってしまう。


設定自体は「地下鉄にのって」のような
現在の記憶をもったまま過去へタイムスリップ
するという話。


短いのであまり深く掘り下げていないし、
最後は安堵するような着地なので
やや物足りないが、心はあったかくなれる。