「歌謡曲だよ、人生は」 | 月灯りの舞

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自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

「歌謡曲だよ、人生は
  ―映画監督短編集」
  著者:磯村 一路、 矢口 史靖ほか
  メディアファクトリー/2007.4.25/571円)




_歌謡曲だよ

映画「歌謡曲だよ、人生は」(2007年GW公開)で
メガホンを取った11人が、同じテーマで執筆に挑戦。
元気な映画界を象徴する初めての映画監督作品集。
                     <裏表紙より>



映画監督たちか、それぞれ、「小指の想い出」「東京ラプソディ」
など歌謡曲の名曲を1曲ずつ選んで、小説にしている。


小説の後に、監督の略歴と、映画化の写真と歌詞が掲載。

まだこの映画は高松では上映されていないので、未見。
だから、映画監督が書いた短編集として読んだ。


映画としてはおもしろいかどうかはわからないけど、
小説で読むと、おもしろいのとそうでないのが歴然とする。


一番おもしろかったのはやはり、矢口 史靖の
「逢いたくて 逢いたくて」かな。
「ウォーターボーイズ」のように笑って泣けて、
ドキドキさせて、最後にほろりというのが短い中に
凝縮されていて、最後にオチがきいてる。


あと、変わっていたのは「ラブユー東京」の曲で、
切り絵風のイラストを添えて、絵本っぽくした
片岡英子の作品は、ほろりとせつなかった。



なぜか蛭子能収も「いとしのマックス」の曲で、
漫画で参加。
独特の蛭子ワールド全開。
でも、これ映画化されたら、かなりブラックになっちゃう
だろうなあ。


あとがきにあるが、「大好きな歌謡曲で映画を作ろう」という
コンセプトで始まったこの企画、
“歌詞の内容や曲のイメージを単純に映像化されるべからず”
というルールがあったという。

そりゃ、歌詞のまんまに映像つけるだけだったら、
歌謡あてぶり劇場になっちゃうもんね。
だから、本当に自由な発想が広がっていく。


なつかしい曲がいっぱいで、歌謡曲集としても楽しめるが、
この曲から、こんな物語が作られるんだと発想力や
アレンジ力に感心する。