「裸婦の中の裸婦」 | 月灯りの舞

月灯りの舞

自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

2つ前に書いた澁澤 龍彦の
「澁澤龍彦幻想美術館」の監修であった 巌谷 国士と
澁澤による対話本。


「裸婦の中の裸婦」
澁澤 龍彦:著/巌谷 国士:著

河出書房新社(文庫) /2007.4.10/819円


裸婦の中の裸婦

「裸婦の中のもっともすぐれた裸婦、えらび抜かれた裸婦」
をめぐつて交わされる十二の対話。
作品にまつわる伝説や隠された意味が自由に語られる中で、
次第に「見る」という行為の意味が明らかになってくる。

バルチュス、ベラスケス、クラナッハ、百武兼行、
デルヴォーなど、古今東西の芸術作品を独自のスタイルで
読み解く美術講義。
             <裏表紙より>



堅苦しい芸術論や美術論をふりかざすのではなく、
あくまで「好み」によって選び抜いたまさに
「裸婦の中の裸婦」たちについてを
思いつくままに語っている。


裸婦といっても様々。
著者は
「ロリータ趣味だね」と語るものもあれば、
「エロティック。生々しい肉感性があるね」
と語ったり、感じたまま、見たままを言葉に
している。

それでいて、その裸婦画の描かれた時代背景や
画家についてもつづられる。

裸婦のポーズも様々で、正面からのものもあれば
後ろ向きもある。

サド侯爵が好きだったウェヌス像は後ろ向き。
画家のベスラケスもサドもバック派だった
という。

でも、後ろ向きがワイセツであるという固定観念が
あった時代もあったという。

芸術的観点でいうと、どの裸婦も美しい。
しかし、どれがエロティックかというと、
表情かな。


グラビア写真でも同じなのかもしれないけど、
一糸まとわぬ全裸より、何かまとっている方が
エロさが増す。
ルーカス・クラナッハの「エレガントな女」の裸婦は
全裸の立ちポーズで、帽子だけをかぶっている。
気品とエロスが漂う作品だ。



他にも澁澤本に興味ある方はこちらもおすすめ。


★「夢のある部屋」
渋沢 竜彦:著
 河出書房新社(河出文庫)/2004.12.10/767円

http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10001899974.html



★「澁澤龍彦との日々」
  澁澤 龍子:著
白水社/2005.4.30/\2,100
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10003038418.html