「みんなCM音楽を歌っていた
―大森昭男ともうひとつのJ-POP」
田家 秀樹:著
スタジオジブリ/2007.8.31/1900円
47年間に1760の作品をつくってきた
CM音楽プロデューサーの大森昭男を
音楽ライターの田家秀樹さんが取材。
大瀧詠一、山下達郎、細野晴臣、坂本龍一、
矢沢永吉、宇崎竜童、大貫妙子、
‥‥など、そうそうたる音楽家たちと組んで、
たくさんの楽曲をCMにのせ、
世の中にひろめた J-POPの軌跡。
CMソングの誕生から、黄金期と、
CM音楽の50年間のあゆみ。
CM音楽というメディアやそれに携わるアーティストや
広告制作という立場からの見方やタイアップについてなど
時代ごとにヒットCMの裏話や秘話を交えつつ語られる。
例えば、
「神田川」が大ヒットしたものの庶民的フォークシンガーで
ある南こうせつと資生堂という“異種勾配”によって
生み出されたヒット曲が「夢一夜」。
このタイトルは小野田隆雄氏のコピーであり、
画家の竹久夢二のイメージで、
幻のようなはかない美しさだったそう。
コピーと作詞が阿木燿子というのが先に決まっていたものに
こうせつが曲をつけたということ。
♪貴方に逢う日の ときめきは
喜びよりも せつなさばかり
ああ 夢一夜 一夜限りと 言いきかせては
紅をひく
「夢一夜」作詞:阿木燿子
他にも コピーライターでブレイクする前の
作詞家 糸井重里の活躍や
“ピッカピッカの一年生”という広告音楽の見本の
ような曲の作曲者についてとかね。
懐かしい曲に懐かしいアーティスト、CMコピー
の話が満載で楽しめる。
森進一の大ヒット「冬のリビエラ」は最初
「星のリビエラ」で、スタジオ入りした時に
変えたのだとか。
結果的には大ヒットしたようだが、
本当に言葉一つ、漢字一文字の違いでヒットの
明暗が分かれたり、おもしろい世界である。
でも「CMは音。映像じゃなくて音が大事。
音によって絵も全然違うものに見える」と
電通CMプランナー氏は語っていた。
「バザールでごさーる」とか「ポリンキー」の
人ね。
CMソングって耳に残るし、やっぱり、
ついつい口ずさんでしまうものね。