「女は見た目が10割」 | 月灯りの舞

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自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

「女は見た目が10割」
   鈴木 由加里:著
平凡社新書/2006.7.11/777円


女は見た目

見た目至上主義時代の今、男も美容に気遣うことは普通になった。
だが、「見た目」のシバリがきついのはやはり女である。
女たちは熱心に化粧をし、「キレイ」を目指す。
それは大きな楽しみであると同時に、苦しみでもある。
誰のため、何のため、女は「キレイ」になろうとするのか。
男が首をかしげ、女も戸惑う、
化粧と「キレイ」の真実がここにある。
<表紙折り返しより>



タイトルは、あの「人は見た目が9割」
対抗してつけたのだと思し、
かなりあおったタイトルだけど、中身は硬派な
「化粧文化」についての考察本。


女性にとっての化粧は「礼儀」の一部であり、
身だしなみの一つという見方であり、
「女は見た目だ」と全面的に肯定しているわけでも
「見た目じゃない」と全く否定しているわけでもない。


どちらかというと、女が「キレイ」であろうとするのは、
自己満足によることも多く、楽しんでやっていることが多いという。
でも、どこか「キツイ」とも感じているのが本音だと述べる。


メイクによる「心理的効果」の考察は女性だったら共感できる
と思う。
メイクは女にとっての「戦化粧」あり、オンとオフを
切り替える仮面でもあるとも述べている。

化粧や美容グッズの歴史をたどり、女が「キレイ」になるため
どんなことをしてきたかを語っていく。


感情論ではなく、綿密な取材やデータを元にして語っている
のでやや小難しい感じではあるが、市場の消費面からも
「キレイ」が煽られているという分析力は、興味深い。


「ビューティコロシアム」など、メディアにおける
「キレイ」ものの番組や雑誌の効果などについてもふれ、
「キレイは正しい」という世の中の風潮を冷静に分析している。



メイクアップアーティストはもてはやされ、
コスメライターは重宝がられ、
「キレイ」を維持している人はカリスマ扱いを受ける傾向。


いくら、好きな人に「ナチュラルな君がいい」と言われても
ある年齢に達したら、ほんとに「キレイ」を放棄して、
手入れを怠ったりしたらとんでもないことになる。
「ナチュラル風」はテクニックによるものだし、
必要以上に飾ったり化ける必要はないけどね。


でも、女って、自分が一番モテていた時の髪型だったり
メイクが一番! と、思ってる人が多い。
そして、それをかたくなに貫いている人って、
ちよっとイタイ場合がある。
女を捨ててしまって、何もしない人よりはマシかとも
思うけど、やっぱり年相応の「キレイ」の仕方はあると思う。



著者もユカリさん。
でも、この由加里さんは大学の非常勤講師で、
「化粧は誰のためにするのか」という記事を書いた時から
「化粧論」について書きたかったという。

出版社と折り合いがつかず、原稿を引き上げ
別の出版社に持ち込んだりという紆余曲折があって、
かなり仕上がるのに時間を要した本だと「あとがき」で
述べている。

それだけ、女性のナマの声や著者のこだわりみたいなものが
感じられる本であった。

が、結局のところ「女は見た目」かという問いの答えは
提示されていない。



★「人は見た目が9割」の感想
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10015800452.html