「まんが裁判傍聴劇場」 | 月灯りの舞

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自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

「まんが裁判傍聴劇場」
   コアマガジン/ 2007.7/500円



裁判傍聴

裁判でわかる!犯罪者たちの「そのまんま」
業界初!有名裁判を完全漫画再現!
&珍奇裁判ファイル
          <表紙より>



取り扱っている事件はさまざまで
ミラーマン植草一秀の「ちかん裁判」や
暴力妻を夫が殺害した事件、監禁王子、
シャブ中、エロ画像、ライブドア事件、
元ドリカムメンバーの覚醒剤取締り事件、
平塚の5遺体事件など、
重い殺人から、笑えるエロ事件まで。


裁判に関して、普段、私たちが目にするのは
ニュースで報道されることのみ。

それはとっても客観的で事実だけになる。

しかし、「傍聴人」が実際に裁判を傍聴して
それを何かのカタチにしたものを目にすると、
主観的なものになってくる。


この本ではその上に漫画原作者さんの視点と
漫画家さんの表現力が加わって「作品」となる。
個性が重なり合うことで
同じ傍聴人の記録であっても、イメージも変わってくる。


ただ、事件を取り上げて漫画化するのではなく、
傍聴人の目を通すということで、裁判傍聴を「作品」として
表現するという試みはおもしろい。


また、傍聴したことでしか知りえない事実であったり、
裁判官や弁護側の態度や傍聴席の反応なども
わかって興味深い。


今回のこの本で、傍聴人は大川興業の芸人 阿曽山大噴火と
裁判傍聴マニアの女の子たちで結成されたという
「霞っ子クラブ」の女性たちという対照的なセレクト。
漫画では、傍聴人のつぶやきみたいなのも書かれてあり、
男性視点と女性視点の違いもわかっておもしろい。


「霞っ子クラブ」のインタビューものっていて、
彼女たちの実態も伝わってきて、そのディープな
世界を知ることができた。



阿曽山大噴火の裁判傍聴記である「裁判大噴火」は
以前に読んでいて、この人の人間観察力はおもしろいなあと
思っていたので、今回のこの漫画とを比較することができて
いろいろと勉強になった。


漫画家さんも様々で個性的な面々で、
画力や主観的印象が色濃く反映されていた。

その事件によって、裁判の流れを表現した方がいいのか、
傍聴席をクローズアップするか、裁判官のキャラや被告人を
たてるのか、漫画原作者さんの構成力が活かされる。


新事実をもりこみ、事件そのものを再現する形で表している
作品もいくつかあったが、かなりディープなとこまで
描写しているものもあり、考えさせられたり、
暗澹たる思いになったりしてしまう。


被告人と同じ空間にいるという特異な空気感、
人が人を裁いていくという臨場感が伝わってくる。



「平塚五遺体事件」の不可解さ、人間関係にものすごく興味あり。
判決の行方が気になるとこ。


M女としては、監禁王子事件も気になるけど、この事件は
女性傍聴人の被害者に対する視線がやや冷たいのが意外であった。
そして、いたましいのが両親殺害の事件。
少年事件ということでの弁護側の多さや少年への配慮など
細かいとこが伝わって来て、なるほどと思う反面、
そこに行き着くまでに誰かがてをさしのべてあげられなかったのかが
無念である。




裁判大噴火

「裁判大噴火」(阿曽山大噴火:著)



<裁判傍聴もの>


●漫画「超有名事件裁判傍聴ファイル 完全版」
http://tsukiakarinomai.ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10054617474.html


●「日本の裁判史を読む事典」
http://tsukiakarinomai.ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10054617194.html


●「霞っ子クラブ  娘たちの裁判傍聴記」
http://tsukiakarinomai.ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10054617031.html


●「気分はもう、裁判長」(北尾トロ:著)
●「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」(北尾トロ:著)
●「裁判大噴火~若手芸人渾身の裁判傍聴記~」
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10004567375.html


●「裁判官の爆笑お言葉集」
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10031436244.html