「恋愛芝居-女と男の星の時間」 | 月灯りの舞

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自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

「恋愛芝居 -女と男の星の時間-」
   北川登園:著

   パルコ出版局/1999年 07月/1,470円

sibai

恋の舞台にようこそ、舞台の上で女と男は、どのようにして
愛しあったか。「双頭の鷲」「ロミオとジュリエット」
「シラノ・ド・ベルジュラック」…。
名作舞台17本の魅力を随筆風に紹介した演劇ガイドの決定版。
 


“女と男は地球という舞台で、

生涯最高の名演技を披露する瞬間がある。

それは「恋」という出し物。

人間の感受性の豊かさが
最高に発揮される場面である”と「前口上」で著者は言う。
言い古されたコトバではあるが、それは誰しも

感じることであろう。

だから、恋愛ものはみんなに共感されやすいテーマである。


しかし、恋愛小説、恋愛映画とは言うけど、「恋愛演劇」とは
あまり呼ばれない。
それは芝居がナマモノであることによるのだと思う。
すぐ目の前で演じられていると、それは虚構なのに

現実として錯覚してしまうのだ。
臨場感というか、同じ空間を共有している感覚が強いのだろう。

ただ、舞台の作品をただ紹介するだけでなく、その作品を
どういう人がどう評価したかだとか、原作はどうだったか等、
作品にまつわる関連話も多い。
舞台の写真もいろいろ掲載されていて、イメージもしやすい。


もちろん、名台詞、台詞の解釈なども深くおもしろい。

目次には作品タイトルの前に短いキャッチコピーが
ついている。
例えば「ハムレット」は“運命に沈む恋”
「かもめ」は“恋の円環”と、それぞれにどんな形の愛
なのかを的確に表している。


日本ものも“無償の愛”「夕鶴」や“最後の華”
「近松心中物語」が紹介されている。
やはり、自分と似たような愛し方の人物がでてくる芝居には
ものすごく気持ちが入り込み、舞台と一体化してしまう。
                     (2005.03.03読了分)