「バロックのエロス」 | 月灯りの舞

月灯りの舞

自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

「バロックのエロス
   ~イリナ・イオネスコ写真集~」

   構成・文:伊藤俊治
   6,090円/リブロポート/1988.9

バロックのエロス

  (大きいので写真に撮りきれなかった。)


イリナ・イオネスコという女の写真家が
撮った女のエロス写真集。


イオネスコは女の心の奥底にゆたう秘密の、
邪悪な欲望を自白の下にさらけだし、
それから目をそむけようとしない。
イオネスコは情熱に憑かれた肉体の衝動を
写すにとどまらず、その肉体から魂の苦痛や
歪んだ精神の歓びをほとばしりだせ、
その熱の消え失せたあとの抜け殻ような肉体も
同時にさらしものにする。
その女の肉体を見つめるイオネスコの眼は男の
眼よりもはるかに歴然としていて鋭い。
    「イリナ・イオネスコの世界 
       鏡の性のバロック(伊藤俊治)」より  

   

オールヌードよりも何か布一枚でもそえている女の
裸体の方がエロい。

この写真集もそんな女たちのエロスにあふれている。
「プレイボーイ」のマスコットガールのような
黒いストッキングだけだったり、ガータベルトだったり、
網タイツ、ブーツだけ、ビスチェなど、様々な衣装が
女の裸体を引き立てる。
ヘアもおしげなくさらしてあるが、もはやヘアさえも
衣装の一つでしかない。


さすがにリブロの本なので中身の写真も美しいが
装丁も美しい。