「性欲の研究」 | 月灯りの舞

月灯りの舞

自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

表紙に惹かれて手に取ってみると、
巻頭対談が鹿島茂センセと井上章一!
これは買わねばなるまい。


「性欲の研究: エロティック・アジア」
井上章一 (編集)
平凡社/2013.5.27/1800円

月灯りの舞

国際紛争なんのその、エッチな思いは国境を越える。
日中韓、スケベ目当ての交流100年史。
             <帯より>

アメリカの帝国主義を批判しつつも、
マリリン・モンローにときめいたり、
キンパツのストリップてせよろこぶ男たち。

そんな男たちの「性欲」は、歴史の流れの
中で翻弄される。

まずは鹿島茂と井上章一の対談「西のエッチと東のエッチ」
というタイトルでエッチの東西交流について語り合っている。
図版や当時の風俗資料ももりこんでいて、
お二人の軽妙な語りでスケベの歴史が紐解かれる。

性風俗の図版はとても興味深いし、参考文献の多さと
タイトルのおもしろさもまた惹かれる。

そして、性器や自慰等の研究者たちが「性欲」を
まじめに論じた論文とコラム集。

論文なので、とても真面目に語っているのだけど、
タイトルだけ見ると、なんだかとても面白い。

例えば「日中おまた事情---性器から読み解く理想像 
男性器編」(梅川純代)。
セックスの技法である、中国の「房中術」についてとか、
風俗の中の理想のペニス像とか紹介しつつ、日中間の
性欲、セックスの違いを語る。
「艶道日夜女宝記」(1770年頃)という書物の「九道具の事」
では9種のペニスが図解入りで紹介されている。

パリのエロで公営の娼館について書かれてるところ。
売春は認めるるが性病や風俗の乱れを防ぐために
公権力を介入させるという考え方。
この主義の別名をキリスト教を代表する神学者の
名前をとり、「アウグスティヌス主義」というそう。

この方の名言
「性欲との戦い、苦しみを通して人は神を見る。
 だから、性欲の強い人は選ばれた人である」
と。


この本のにも登場する関西性欲研究会の性のお言葉集
 ↓

★「性の用語集」 井上 章一&関西性欲研究会
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10002681626.html

★「愛の空間」井上 章一:著
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10149014450.html



鹿島茂センセのおもしろい性にまつわる本たち。
 ↓
★「空気げんこつ」 鹿島 茂:著
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10298749327.html

★「オール・アバウト・セックス」鹿島茂:著
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10046822734.html

★「愛書狂」 鹿島茂:著
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10000059123.html