「盆踊り 乱交の民俗学」 | 月灯りの舞

月灯りの舞

自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

夏もそろそろ終わり……。夏の盆踊りにも
こんな歴史があったのね~ という本。
春の私の誕生日に、太っ腹な方から、いただく。


「盆踊り 乱交の民俗学」
下川 耿史 (著)
作品社/2011.8.19/\2000

月灯りの舞

盆踊り〉とは、生娘も人妻も乱舞する
“乱交パーティ”だった!

日本人は、古代より性の自由を謳歌してきた。
歌垣、雑魚寝、夜這い、盆踊り……。
万葉の時代から近代までの民俗文化としての
“乱交”の歴史。
         <帯より>


「乱交しよう」と言われたら、「この変態っ!」と
拒絶するか、「喜んで!」と参加するのか?
時代や場所によっては当たり前に行われて来た
この行為。

はたしてどんな歴史を経て、解放的な性関係が、
秘め事になっていったのか。
    
文字のなかった日本に、文字という文化が誕生。
同時に、恋の歌、愛の歌が盛んになったという。


そして、その歌にちなんだイベントが「歌垣」と
呼ばれるもので、古代の日本では、若い男女が山に登り、
歌を交換し、気が合えば、その場で性的関係を結ぶ
という風習。

これが「歌垣」であり、“乱交パーティの始まり”と
著者は言う。

こんな風に、日本の歴史を紐解きながら、
風習、民族文化を探り、「乱交」という行いの流れを
たどっていく。


資料、図版も豊富で、真面目に語っているが、
読みやすく、著者の視点も偏ることなく、おもしろく、
日本人の生態を興味深く知ることができる。


第三章「踊り念仏の狂乱と念仏踊り」が特に
おもしろかった。
「念仏」という仏教で唱えるものが、音楽化され、
官能になっていく。
仏教音楽としてエクスタシーを与えるという。


一遍上人は民衆に歌と踊りで「念仏」を表した。
彼の信者が竹筒で彼のペニスから尿を飲んでいる
絵が「天狗草紙」に描かれている。

尿で洗眼しているものや尼僧同志の同性愛の姿も
描かれている。

念仏踊りによる自己陶酔、性的関係は、
様々な芸能や祭りを産み出すエネルギーにもなったという。



性を謳歌することはイイコトなのか悪いことなのか、
同じ性的行為なのに、一人の人とこっそり、じっくりするのと、
公に、不特定多数でするのとでは、ナニが違って、
どういう効果があるのか……。


同じ出版社から出ている、西洋がメインの乱行の歴史の本。
  ↓
★「乱交の文化史」バーゴ・パートリッジ (著),
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-11507799956.html


盆踊り 乱交の民俗学/下川 耿史
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